杜甫堂へはタクシーを利用したのですが、ドライバーの神風運転は荷車や通行人を轢きそうでヒヤヒヤ・ハラハラ。意外と立派な門の前で降ろされたときには、「命拾いをした」気持ちにさせられました。
もっと鄙びた場所かと思っていましたが、観光客が引きもきらない”杜甫草堂”。 門をくぐった途端、良い匂いに誘われて右側の茶店に。空腹だったので、100円ほどのお弁当で腹ごしらえをしてから見学を始めました。 国破れて山河あり、城春にして草木深し
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小皇帝の椅子役に、苦笑いしている草堂前の杜甫 |
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有名なこの詩は、安史の乱(755−763年)で長安に軟禁された時の杜甫の嘆きです。長い浪人生活の末やっと任官がかなった、彼に降りかかったクーデターとその後の放浪生活。日本人が彼の詩を愛するのは、その不遇な生涯が隠し味としてあるからかもしれませんね。
その流浪の悲劇詩人が、『生涯で最も心穏やかに暮らし、200篇以上の詩作をした』と言われている成都での4年間。それを静かに偲ぼうと思っても、彼は本国でも愛されているようで、復元された”庵”の周辺は団体客、家族連れで溢れています。かつて玄宗皇帝に仕えた彼が、小皇帝(一人っ子政策の中国での、子供の別名)の椅子役とは ! 困惑気味で微笑ましい、現代の杜甫さんの姿でした。 |
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