アルバトロス・センター見学後、バスは来た道を引き返しました。しばらくして左折し丘を越えると、穏やかな入り江が左手に見えてきました。遠浅の入り江に黒鳥やヘラサギなどの姿が散見でき、のどかで穏やかな空気が流れていました。地図で確認するとここはPapanui Inlet、イエロー・アイド・ペンギンが生息する右下の出っ張り部分に入ったようです。
バスが海岸を離れ山道に入ると、車内にいてもわかるほど風が強くなり景色は一変しました。木々の少ない牧草地に断崖の海岸線。時々木を見かけましたが、そのどれもが「強風に必死で耐えています」を体言しているような姿をしています。
いくつかの柵を越え、バスは小屋のある丘の上で停車しました。眼前に広がっていた風景はご覧の通り。右手奥の断崖を降りるとNZアシカの生息地、左に見えている砂浜付近がNZ固有種のペンギン、イエロー・アイド・ペンギンの営巣地です。ここでツアー客は2つのグループに分けられ、右と左に分かれて見学することになります。トイレはここ(小屋の中)で済ませましょう。
私たちのグループ総勢10名はペンギングループと別れて右側へ、NZアシカのいる岩礁へと向かいました。斜面につけられた狭くて急な階段を降りて行くと、岩礁の上には予想以上に沢山のアシカの姿。授乳期の親子や活発な子供たちも多くて見ていて飽きません。寝転んだ大人だけだと動きが少なくて退屈ですものね。画像左手に見えている建物は観察小屋になります。
広い岩礁のあちらこちらで授乳シーンを見かけどこに焦点を合わせたら良いか迷っていましたがこのお母さん、お乳欲しさに親を間違えて近寄ってきた他所の子を凄い剣幕で威嚇していたので目に付きました。ようやくその子を追い払い今度は優しく我が子を招く、そのギャップに思わずカメラを向けました。中々お乳を探せない我が子を優しく見守る、その自愛に満ちた姿は母親の鑑(?!)。
先ほどの急斜面を皆さんに遅れまいと必死で登ったと思うと、今度は左手の海岸線まで降りていかなくてはいけません。牧場を抜け海岸へと向かう草むらに入った時、ガイドさんが急に「シーッ!」と言って立ち止まり、右手の斜面に登るよう無言で合図しました。上からガイドさんの指差す草むらを見ていたら、様子を伺う動物の目。やがて安心したのか、ひょこっと道に出てきました。イエロー・アイド・ペンギンをはじめて見た瞬間です。
ここが彼らが海へと向かう道。左手に営巣地があり、人間が歩くのはやや高くなった右手の斜面です。じっと待っていると、もう一羽が海岸よりの草むらから出てきました。動きがゆっくりで、時々立ち止まってくれるので被写体としては申し分なく、シャッター音は止むことがありません。
最後にもう一羽現れ、この道の上に三羽が等間隔に並びました。やがて最初の一羽が向き直って最後の一羽に近づき、この鳴き交わしが始まりました。鳴いている時は興奮しているのか、後頭部の白い羽根が立っているのが見て取れます。こちらカップルの愛情表現なのでしょうか、ご存知の方教えて。
全体の姿や動作は愛嬌があって可愛らしいのですが、アップにするとその目つきは鋭くて猛禽類のようです。他のペンギンはどうでしたっけ、兎に角迫力ありました。
営巣地の斜面には人間が手を貸した巣が点在しています。中を覗くと、かなり大きくなったヒナの姿。子供とは言えカメラマンを睨み付けているかのような、こちらの眼光も鋭いですね。
ペンギンをもっと見ていたかったのですが、時間の関係もあるのでしょう、ガイドさんに促され海岸に出ました。何もないと思っていた砂浜でしたが、そこにはドドンと大きな被写体の姿。思わず駆け寄ろうとする私たちに「危険だから近づき過ぎないように!」と注意の声がかけられました。ガイドさんの指示の元、安全距離からの撮影です。緑色のザックを背負いこちらに背中を向けているのが、ガイドのショーンさんです。
『ニュージーランド・シー・ライオン:別名フッカー・シー・ライオンは、NZ固有主で世界で5種類いるシー・ライオンの中で最も珍しい。オットセイとは異なり社交的で、仲間同士も仲が良い。200m以上潜水することができ、オスは体重400kgにまで及ぶ』-車中で配られたインフォメーションより抜粋-
写真と動画で編集した「ペンギン・ストリー」
帰り道で再びイエロー・アイド・ペンギンが姿を現してくれ、充実したワイルドライフ・ツアーは終わりました。2日後、クライストチャーチ・オークランド経由で帰路に着き、初めてのニュージーランド旅行も終わりました。この記録が少しでも皆さんの旅の参考になりますよう願っています。