5月に「シリア中央部のパルミラ遺跡一帯が過激派組織IS(イスラム国)に制圧された模様」と報道されて以来、その後の様子が気になっていました。実は20年ほど昔、先代アサドの独裁下ではありましたがまだまだ平和だったシリアを訪れたことがあります。遺跡オタクですから目的地はもちろん、「パルミラ!」。イスラム教を信奉する独裁政権の国への一人旅、内心ビクビクでの訪問でしたが予想外に明るく親切な人々との出会いでダマスカス、パルミラ、デリゾール、アレッポ、ハマ、と古都めぐりを楽しみました。
今朝のニュースで「ISが遺跡内に爆弾や地雷を仕掛けた」と知り、ショックを受けました。まだ破壊はされていないことには安堵しましたが、いつ破壊されてもおかしくはない。危機は迫っていると言うことですものね。パルミラのこと皆さんにも知って欲しくてシリア旅行の画像を探したのですが、数代前のデータなので見つからない。替りに観光局でもらったパンフレットが出てきたので接写しました。左手前が四足門、右手が円形劇場、文字の下になって見にくいですが遠景がバール(ベル)神殿です。
この素晴らしい遺跡がこの世から消滅してしまうかもしれない、と考えただけで心が痛みます。人を救うはずの宗教が争いの種になるなんて、何と皮肉なことでしょう。そこに一神教の限界を感じます。人類だって自然の一部、八百万の神を想像できる日本人の感性に共存の可能性があるように思えてなりません。何とか生き延びて、パルミラよ。