4月のアテネは想像以上に気温が低い。「日本よりは暖かいだろう」と、夏服しか持参しなかった1996年の春は、着るものにも困っておりました。アパートの管理人さんが休暇で不在のため部屋のスチームも使えず、マッチ売りの少女が迎えたクリスマスのように、寒さに震えて迎えた異国でのイースターです。 |
赤い卵とうさぎはイースターのシンボル? |
明日からのイースター(復活祭)休暇を前にマーケットは買い物客で混雑しています。肉屋の店先には目玉も歯もしっかり揃った丸裸の子羊がズラリと吊り下げられ、一種異様な雰囲気です。「イギリスの狂牛病の影響で牛肉を避けているのかな?」と思っていましたが、後で知人に尋ねると「イースターには羊の丸焼きを食べる習慣があるから」ということでした。丁度、日本の正月の新巻き鮭のようなものでしょうか。
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零時(14日)になると街のあちこちで爆竹の音が響きます。窓から見下ろすと教会の聖なる火をロウソクに受けた人々の家路を急ぐ姿が見かけられます。ロウソク・パレードのようでなかなか美しい眺めでした。家に持ち帰ったこの火で調理をして、これから晩餐が始まるのだそうです。「ギリシア人はこの日はずーっとご馳走を食べ続けるのよ」と隣人が教えてくれました。肉屋の子羊はこの日のためのご馳走だったのですね。
大晦日に年越しそばを食べながら除夜の鐘を聞き、正月三が日はお節料理を食べて過ごす私たちの風習とちょっと似ていませんか。 |