トリポリ

 シリアのホムスからサービス・タクシーでレバノン入りする予定が、手にしたのはバスのチケット。言葉が通じないと時々こんなこともあるんです。このバス、乗った途端に回れ右して降りたくなりました。乗客全員が男性で、しかもその視線が一斉に注がれたのですもの、間違えて男性専用車に乗ってしまったのかと思いました。

 でもバスにその区別があるわけではないらしく、皆さん紳士的だったので一安心。国境越えも(人数が多いので時間かかった以外は)入国カードに記入するだけと簡単ですし、ヨルダンとは違い出国税も無し。ただレバノン国内に入ると装甲車が配備されていたり、簡易検問所が何ヶ所も設けられたりしていて、ここが数年前まで内戦状態であったことを実感させられました。

ホテルの部屋から見たアッ・タール広場の夜景
ホテルの部屋から見たアッ・タール広場の夜景
 トリポリ市街(旧市街)はこのアッ・タール広場が中心のようで、バスもここに着きました。でも地元の人に「トリポリ?」と確認しても首を横に振られるだけ、アラブ名は「トラプロス」ですので、バスでここに入る方は注意して下さい。サービスタクシーなら「トリポリ」で通用します。 「迷路のような旧市街」を歩くのを楽しみにしていましたが、地図も何もなしとは困ったものです。ホテルで方角だけ聞いて歩き出すと、よくしたもので案内してくれる人が現れ、「タイナル・モスク」「グレート・モスク」「スーク」「14・15世紀の神学校」などを見て回ることができました。

 夜、地鳴りのような音に思わずベランダへ飛び出してみると、兵舎にでも帰るのでしょうか、装甲車が列をなしてこの道路を走って行くところです。装甲車が走るのを見るのも、その音を聞くのも考えてみれば初めてのこと。平和な日本を思うと、とても複雑な気持ちになりました。

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