この家を見学するには、高校の受け付けで鍵をお借りしなければなりません。鍵を開けて室内に入るころには、雷まで鳴り出して来ました。急ぐ旅でもないし、人もいない。賢治の家でしばしの雨宿りです。 |
賢治の家内部 |
ここは教室。八畳ほどの板の間で、簡素だけれど居心地が良い。当時のまま保存されているという、中央に置かれた火鉢とそれを囲む木の椅子がとても印象的な部屋でした。この部屋にも廊下にもオルガンが置いてあり、音楽好きだった生前の賢治を偲ばせてくれます。家の中でこの部屋の写りが一番なのか、ほとんどの方のHPでこの角度からの写真が紹介されてしました。
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有名な「下ノ畑ニ居リマス」の黒板は、この教室の外壁にかけられていました。薄くなると、誰かが丁寧になぞって現在に至っているとかで、これは賢治の筆跡そのもの。でも移転先の現在地は平坦で、「”下”とはどこのこと?」と思ってしまいますよね。そんな方は桜地人館裏手の、あの高台(光太郎揮毫の「雨ニモ負ケズ」の詩碑あり)に立ってみて下さい。 |
賢治の黒板 |
北上川に向かって広がる畑を見下ろしていると、賢治が今もそこで耕作しているようです。「オーイ」と呼べば顔を上げて答えてくれそうな、そんな気持ちにさせられる場所でした。 |