漢方薬をつくる時に使用する、ラクビボールを半割りしたような形状の、材料をすりつぶし混ぜ合わせる道具”薬研”。見たことはないのですが、お湯の湧き出し口がその形に似ているというところから、ここは”薬研”温泉と命名されているのだそうです。恐山からは紅葉の美しい渓谷沿いの道で、目指す「かっぱの湯」はこの温泉から2キロほど上流の奥薬研温泉にありました。
『恐山を開山した慈覚大師が、霊山を探してこの地方を訪ね歩いていた頃のこと、崖から落ちて怪我をした時、一匹のかっぱが現れ彼を背負ってどこかに運んだ。翌朝目を覚ましてみると、体は大きなフキの葉に包まれて山のいで湯の中。怪我の痛みもすっかりなくなっていた』。この伝承から、カッパの善行に感謝して、こちらのお湯を「かっぱの湯」と名づけたとか。 |
川岸につけられた石段を下り、右手にぐっと曲がると、 透明の湯を満々とたたえた、割と大き目の湯船が目に飛び込んできました |
「もののけ姫」のワンシーンを連想させるような情景ですね。町おこし・村おこしの新しい温泉とは一味違う、一千年の歴史を持つ由緒正しい露天風呂。皆さん、入りたくなってきたでしょう? 看板脇に車を止め渓谷へと降りて行くと・・・、透明なお湯に盛りの紅葉が映り鏡のように美しい「かっぱの湯」、そして先客の男性からは「良いお湯ですよ。どうぞ」という声がかかりました。
「どうぞ」と言われましてもお湯は透明、アプローチから丸見えの混浴露天風呂はちょっと入りにくい。でもここが目的で下北まで走って来たようなもの、ここで諦めたら女がすたる(?)。格好良く端の方から「スッ」とお湯に入るつもりが、「熱い!」。熱くて体をお湯に沈めることが出来ません。と、「ここは両脇からお湯が湧いていますからそこは熱いですよ」、と中央の特等席を先客氏が譲ってくれました。ありがとう。 |