2010年06月04日

2010年06月04日 : 卒業研究を担当して下さった先生の講義が福島サテライト(学習センター)であるため、福島県の郡山市に来ています。講義テーマが「地域史」なのですが、この地は初めてなので少し予習をしておこうと安積歴史博物館に行ってきました。
明治17年(1884年)に建設された、安積歴史博物館
明治17年(1884年)に建設された、安積歴史博物館
 博物館の建物は明治17年(1884年)に建造された旧福島県尋常中学校の本館です。明治期の優れた洋風建設物として、昭和52年(1977年)に重要文化財に指定されています。パンフレットによりますと、『創建された場所に、当時そのままの姿で残るのは全国でもこの建物だけ』だそうです。正面2階のバルコニーが、何とも良い感じを出しています。

 各教室がテーマ別の展示室になっているのですが、『明治の初めに猪苗代湖から水を引いて開拓をした』と言う安積開拓事業の展示以外は「大したことが無いな」と思いながら2階に上がりました。ところが、13展示室に掲げられた『二つの祖国への伝言』を読んで目が点になりました。それは福島に生まれ米国で没した歴史学者、朝河貫一が残したこんなメッセージでした。
歴史学者、朝河貢一氏の業績を紹介した13展示室
歴史学者、朝河貢一氏の業績を紹介した13展示室
 『米国よ、(中略)戦後、米国は謙虚さという学科を学ぶことによって、世界に現存する矛盾と不平等に思いを致し、そこから真の正義を考えなければならない。力を振りかざす正義感に立った政治伝道者的な態度は反省しなければならない。

 日本よ、(中略)民主主義においては、政体がそうなっているだけでは、民主国家とは言えない。国民一人一人が道徳と責任を自覚すると共に、民主主義を勝手にゆがめる勢力に対しても、これに打ち勝たねばならない。こうしてこそ平和と真の民主主義が訪れるのである。』。

 たまたま今日は菅新総理が誕生した日でもあり、余計心に響きました。国のあり方は政治家が決めるのではなく、国民一人一人の意識が反映されるもの。貴方任せにして批判しているだけでは何も変わっていかないのだと、深く反省させられた文章でした。


 昨年1年間取り組んでいた卒業研究、「埋納土器についての考察」をPDFファイルにまとめました。本文20ページ、図版・写真注など32ページ他の計67ページ、4101kbのファイルです。

 「埋納土器についての考察」:2009年度卒業研究報告書(4101kb)

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