はっきり言って、賢治の作品は苦手でした。というより、どこか別の世界へ連れて行かれそうで怖かったのです。ところが1996年前後に「賢治ブーム」があり、書店には彼の作品が溢れていて厭でも目に入ってきました。それならと、ギリシア行きのお供に選んだのが「銀河鉄道の夜」。
メテオラの修道院群を見渡せる岩場で一気に読んでしまいましたが、中でも同書に収められている「グスコーブドリの伝記」には心ひかれるものがありました。主人公はまさに”賢治の分身”です。 |
記念館に建てられていた、”夜鷹の星”のレリーフ |
男女の関係にも言えますが、「嫌い」とか「怖い」と感じるのは、相手を意識しているという点では「好き」と大差ない感情ですから、「まっ、何を感じるかわからないけれど、兎に角花巻に行ってみよう」と思ったのが今回の花巻行きだったのです。 |