日本神話を読んでも、古代遺跡を見学しても、いつも気になるのが鉄のことでした。黒曜石の石器や青銅器しか持たない人々が、鉄器を携えた渡来人に接する。鉄は農具となって収穫量を向上させる一方、武器として用いられれば、「核を持つ国と持たない国」ほどの兵力の差となったことでしょう。
豊かな生活と戦さとを同時にもたらした古代の鉄。「伝来の時期」「歴史上果たした役割」「日本神話への投影」…、と疑問は山ほど。で、2000年11月、自分への誕生プレゼントも兼ねて、製鉄の聖地”奥出雲”への旅を計画しました。 |
“たたら炉”と炎 (たたらと刀剣館の展示室より) |
まずはネットで検索して出雲市に問い合わせしましたところ、「パンフレットを送付しました。特に吉田村は”鉄の歴史村宣言”を行ってますので、そちらに良い資料があるかもしれません」との返信メール。その後届いた「鉄の道文化圏」のパンフレットを参考にして、今回の「古代鉄鉄を求める旅」の行程を決めました。 |