各寺院では様々な姿態のアプサラや女神が、その美を競っています。でも、未だに判然としないのがデバータ(女神)とアプサラ(天女)の区別です。「アプサラ(ス)」で統一してあるガイドブック、「デヴァタ」と記しているもの、両者を使い分けしている本、と色々あって混乱は深まるばかり。「女神でも天女でもどちらでも良い」のかもしれませんが、やはり気になります。 | |||
ハスの花の上で踊るアプサラ : バイヨン回廊 |
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調べてみますと、『アプサラは神々を楽しませる天上界の踊り子(まるで北朝鮮の喜び組み?)で、人間界と自由に行き来できる能力を持ってはいるが神ではない』とあります。クメールの人々は彼女達を下界に招き、神様の地上での住まい、寺院の装飾になってもらったようです。
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それでは女神はどうなのでしょう。ヒンドゥー神話では『シャクティ(性力)信仰が盛んになるにつれ女神の数も増え、破壊の女神カーリーやドゥルガーが広く崇拝された』とあります。 | |||
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数あるヒンドゥーの女神の中で日本人に良く知られているのは、乳海攪拌で生まれヴィシュヌの妃神となったラクシュミー。後に彼女は仏教に取り込まれ、美と幸福を授ける吉祥天(きっしょうてん)として日本に渡って来たのです。そう言えば浄瑠璃寺の吉祥天、美しいですよね。 | |||
アプサラ群舞 : アンコール・ワット |
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ここに並べた顔、顔、顔。豪華な髪飾りに装飾品、細部まで丁寧に彫られた全身像からは、神々しい品の良さが漂ってきます。”アプサラ”(女官や踊り子)とは思いたくない彼女達を、ここでは(根拠はありませんが)”デバータ”と呼ばせてもらいます。
美しいデバータが見られる寺院でお薦めは、アンコールトムの東門、勝利の門を出てすぐ左手にあるトマノンです。訪れる人が少ないので、じっくり鑑賞できますよ。 |
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