第9室 「メキシコ湾岸」。この部屋で初めて、実物のオルメカ・ヘッドを目にしました。巨石人頭石の存在は本で知り、見たい見たいと思っていたので、まさに感動の「ご対面!」。それを産み出したオルメカが栄えたのは紀元前で、その後のメキシコ古代文明の母体になっていったそうです。
巨石像には圧倒されましたが、それとは対照的な緑石の小品群には目が点!に。その中のいくつかが、「Jade:ヒスイ(翡翠)」だったからです。「ヒスイ」はアジア的なものと認識していました。産地としてはミャンマーと、日本の糸魚川流域が有名ですが、ここまで運ばれてきたのでしょうか? |
オルメカ・ヘッド |
隣の第10室「マヤ」には、パレンケ「碑文の神殿」の地下王墓が実物大に復元されています。その被葬者(パカル王)の遺体に被せられていたのが、有名な”ヒスイの仮面”なのです。
後で調べてみますとヒスイの3大産地は、日本・ミャンマーとグァテマラ。それでメソアメリカ地域でも、ヒスイ文化が発達したんですね。数日後にパレンケを訪れた時、遺跡の佇まいや雰囲気にとても親しみを感じたのは、その(同じヒスイ文化を持っている)ためかもしれません。 |
もう一つ「メキシコ湾岸」室で深く印象に残っているのが、「泣く子供」という小石像。ジャガーを神として崇めていたというこの地方において、人間の女性とジャガーの間に生まれたというこの赤ちゃんは、オルメカ王家の始祖なのかもしれません。ジャガー信仰は後の文明に連綿と引き継がれていくのですから、大きな意味を持つこれらの小さな展示品は見落とせません。 |