原野の成り立ち

 『沖合いの砂丘列により外海から隔てられていたサロベツ低地は、今からおよそ7,000~6,000年前の海退(水位の低下)により、陸地として現われてきた。この海退が急激だったため、現在の原野地域はほぼ同時に陸地化し、湿地化型の泥炭の集積が始まったとされている』と展示パネルにありましたが、はてサテ泥炭とは何でしょう?
サロベツ原野のできるまで
サロベツ原野のできるまで(展示パネル)
海が後退して湾が干潟になり、泥炭層が積み重なって原野となる様子
 解説文によりますと泥炭地とは、『北国の湖沼のように低温多湿の場所では、バクテリアの働きが不活発なため植物が枯れても完全には分解されない。これらは長い年月に厚く積み重なり、スポンジ状の柔らかい土塊になる。この褐色の土が泥炭で、その成長速度は年平均1mmと言われる』。つまり、1mの泥炭が堆積するのに約1,000年かかるのだとか。サロベツ原野の泥炭層の厚さは3~7mで、家畜の飼料や育苗用などにも利用されているそうです。


 フムフムなるほど、サロベツ原野(湿原)は自然が数千年かけて造り上げた、貴重な遺産だったんですね。でも解説には、『最近は乾燥化と笹の脅威が原野に押し寄せている』ともあります。地下茎でつながった笹は生育範囲を広げ、背の低い湿原植物は日光をさえぎられて枯れてしまうのだとか。
ハクサンチドリ
笹に囲まれてしまったハクサンチドリ
 湿地と言う、微妙なバランスの上に生育しているサロベツの花々。徐々に乾燥化が進むのは自然の摂理で仕方がないとしても、人間が立ち入ったことによって環境を変化させ、草原化を早めることは避けなくてはいけません。決して湿原には立ち入らず、植物をとるのは写真だけにしておきましょう!

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