村の鍛冶屋

 ガイド夫婦と別れて市場への道をブラブラ歩いていくと、面白い動作をしている婦人がおりました。大きな竹筒に入った2本の棒を、しきりなしに上下に動かしているのです。

 近寄ってよく見ましたら、筒先の地面には火床があります。火床の前には木製の水槽が置いてあって、夫と思しき男性が農具を加熱しては叩いています。ハハーン、この竹筒はフイゴ(送風具)、彼らの仕事は鍛冶屋だったんですか。

竹製フイゴを利用していた、村の露天鍛冶屋さん
竹製フイゴを利用していた、村の露天鍛冶屋さん
 たいした道具も無いのに、木や竹など身近にある物を活用して、農具の修繕までしてしまう。工業製品など庶民には高嶺の花の、半鎖国状態の国ミャンマー。

 旅行当初は物のなさを貧しくも感じましたが、数日もたつとその生活の知恵とシンプルさに感心することが多くなってきました。中でもこの鍛冶屋さんや、ピンダヤで見た傘作り作業などは感動物でした。物と情報に翻弄される生活と、どちらがより人間らしいのか、考えさせられた光景でした。

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