「証明されないと認めない。見えるもの、触われるものしか信じない」。”科学万能”の現代に住んでいると、知らぬ間に失ってしまう、「正体のわからない者」と共存できる能力。想像力、心の柔軟性、多様性が、ここ遠野には「まだ残っている」、そんな気がするのです。
まずは全体像を掴もうと、最初に博物館に入ってみました。「河童」「オシラサマ」「ザシキワラシ」など、この地方に伝わる昔話や世間話を「遠野物語」にまとめ民俗学を確立した柳田国男。彼の展示資料を見ていましたら、手塚治虫と宮沢賢治の名とその作品群が頭をよぎりました。その後これ(私の認識)に加わったのが、世界的な博物学者”和歌山が生んだ巨人”、こと南方熊楠です。 |
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遠野博物館チケット |
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和歌山にある記念館を訪れた時、「柳田は一国民俗学、熊楠のは比較民俗学」とあり「なるほど」と思ったものです。南紀方面に行かれることがありましたら、白浜の「南方熊楠記念館」に是非お立ち寄りください。彼の博学はもとより、その驚嘆すべき記憶力には誰しも、「爪の垢でも煎じて飲みたい」と思うことでしょう。「日本にもこんな人がいたんだ」と、うれしくなってしまうような記念館ですよ。
ちょっと脱線してしまいました。話を遠野に戻して、次は昔話村に行きましょう。ここでは「語りべ」さん達が交代で、あなたを昔話の世界へと誘ってくれます。そのトツトツとした独特の語り口は、心を包み込んでくれるようで温かく懐かしい。他に「旧柳田国男隠居所」や、代表的な13の民話を紹介する「物語蔵」もありますので、時間だけはタップリ持ってきて下さい。さっと一巡しすぐ帰る方達が多かったのですが、駆け足ではもったいないですよ。 |
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