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1992年
1996年
 翌日お母さんとネルミン(お父さんの妹)に手招きされ、「出かけるから支度して」とジェスチャーで伝えられました。ギルダは学校に行っていないので不安ですが、この際ついて行くしかない。外に出ると、大通りのある場所で止まりました。どうやらバスに乗ってのお出かけのようですね。

 10分ほどでバスを降りて住宅街の中を歩き、2人はある家に入っていきます。玄関で家人に挨拶し居間のドアを開けると・・・、心の中で思わず「ワァー」と叫んでしまいました。広い居間のグルリには、手に手に刺繍や編み物を持った女性たちが、壁を背にずらりと並んで座っています。その数二十名以上で、「壮観!」の一言です。

 ネルミンとお母さんが、中央に座っている年配の方に挨拶しています。郷に入ったら郷に従え、で私も"抱き合って両頬をチョンチョンとくっつける"トルコ式挨拶を、一人ずつにして回りました。やがてお茶やお菓子が振舞われたので、最初これは「何かのパーティーかしら?」と思いました。

 それから夕方までおしゃべりが続き、帰りには一人一人が「おみやげ」を私にくれました。ハンカチ・ネッカチーフ・靴下・・・、総てそれまで作っていた手作りの品物ばかりです。翌日は別の家に行き、やはり同様に手仕事をしながらおしゃべりをし、甘いチャイかトルココーヒーを飲み、これもまた甘いお菓子を食べ、手仕事をし・・・、で夕方まで。これはパーティーではなく、家庭婦人の一般的な日常生活らしい、と次第にわかってきました。これでは太るはずですよね。でも「マッ、いいか」。ここは奥さんに何もさせず太らせる(?)のが"男の甲斐性"、というお国柄なんですから。

 数日間の滞在で、かつての旅行では考えられないほどの物持ちになり、ブルサを発つ前にお父さんに手伝ってもらってダンボールで日本に送りました。
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