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 ハルビンには『金の太祖の陵墓』があると、ガイドブックに記されています。この地にあった金と言う国、渤海と何か関連はあるのでしょうか。ちょっと気になったので、知人に連れて行ってもらうことにしました。太陽島にある東北虎園から、ハルビン市街を抜けて東に数十キロ。走ること1時間少々で、最初に車が止まったのは太祖の銅像が建つ「金上京歴史博物館」の前でした。
完顔阿骨打像
金上京歴史博物館前の広場に立つ完顔阿骨打像
 『1068年、阿骨打(アグダ)は女真族完顔部(ワンヤン)の族長を父に持ち、この地(現黒龍江省)に生まれた。1113年には女真族の首領となり、時の支配者遼を攻撃。1115年に大金を建国、北宋と結んで遼を滅ぼし1123年に病没。』


 博物館に寄りたかったのですが、連れてきてもらっているので(一人でないので)わがままは言えません。顔で笑って心で泣いて、銅像の写真を撮るだけで諦めました。 

 太祖陵までは博物館から5分ほど。玉帯橋を渡り門をくぐると、両側に石像の並ぶ神道が延びていました。突き当りは草生した土饅頭で、意外と小さく素朴なお墓です。標識に従って裏手へと足を運ぶと、「地下宮殿」と書かれた扉があり、入り口から地下の墓室へと階段が続いていました。
金の太祖陵
石像が並ぶ「金の太祖陵」神道
 降りていくと内部は思ったより広く、照明が少ないため、一人では見学をためらったのでは、と感じるほど暗い。太祖の棺以外お宝らしきものはないのですが、広い通路の壁には、女真族の生活を描いた絵が所々にかかっています。暗いし説明文がないので最初気づきませんでしたが、順に見ていくとそれは、金の建国ストリーになっているようでした。
完顔阿骨打と将軍達
陵墓裏手の神殿に居並ぶ完顔阿骨打と将軍達
 地下宮殿を抜けると背後に、太祖を祭る神殿がありました。中には等身大の太祖と将軍たち、そして彼らの旗が並んでいます。その旗を見て何故か清朝の軍事・社会組織「満州八旗」を連想してしまいました。

 阿骨打が整えた社会組織は猛安(もうあん)・謀克(ぼうこく)制。地域の長の統御下にあり、平時は狩猟・農耕を、戦時には兵を供出する組織集団です。「清」の前身「後金」は、満州地域に住む女真族(後に民族名を満州に改める)の建てた国。金の後継者として「後金」を称したヌルハチは、女真族の社会組織を踏襲して「八旗」を整えたと言われていますから、前述の連想もそう的外れではなさそうです。
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