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 ここからは、蘇鎮轍著「百済武寧王の世界、海洋王国大百済」の中から、「もしかしたらそうだったのかも」と興味を引いた部分をいくつかご紹介してみます。まずは「崩」と「薨」の違いについて、

 『「崩御(ほうぎょ)」は天子や大王の死亡を意味する言葉で、「薨去(こうきょ)」は皇族や臣下などの死を表記する「臣属」用語である。武寧王陵から発掘された墓誌に「崩」の字が用いられているのは、彼が生前、多くの諸侯を統治していた大王であったことを物語っている』 
金製冠装飾レプリカ:模型館
金製冠装飾レプリカ:模型館
 次に和歌山県橋本市の、「隅田八万神社所蔵人物画像鏡」の銘文解釈に関しての部分です。古代人にとって青銅鏡とは、『神威を受けた呪術的性格が与えられたもので、この時代の政治社会において鏡は重要な「政治道具」に変貌した。そのような鏡の授受は上位者が部下を「信任」すると言う特殊な意義を付加するため、「献上」は考えられず「下賜」によるほかないのである。』

 そう言った青銅鏡の性格を踏まえた上で銘文は、『「百済大王年癸未年(503年)、大王斯麻は男弟王(継体)の長寿を念願するため、この鏡を製作した」 と読むべきである』と書いています。要は、斯麻大王は男弟王(継体)に下賜する立場、つまり上位の王だと言うことです。
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